キノトッテについて

あれはある冬の朝のこと。

当時(たぶん)中学生だった僕は、学校に行くため駅に直結したショッピングモールを通りぬけ、改札に繋がるドアの取っ手を、いつものようにギュッと掴もうとした。

バチッ!

静電気だ。ビックリしたしちょっと痛い。朝からツイてないなと思うと同時に、ある想いが湧いてきた。

「なんでこの取っ手は金属むき出しなんだろう?触れる部分だけでも木で出来ていたら、こんな目に合わなくて済んだのに」

金属だけで取っ手を作ると、冬場に静電気が起きるかもしれない。
中には運悪く苦しむ人がいるかもしれない。
ちょっと気を利かせて木の取っ手にしてあげれば、悲しむ人が少しだけ減る。
少しの工夫で暮らしやすくなるのにな、と思った僕はこの気付きを忘れまいとした。

そして、人のことを思いやって行う小さな工夫と、その心配りを「キノトッテ」と名付けた。

--

月日が経って今は大学3年生。器用じゃない人たちもハッピーに暮らせる世界に力を添えていきたいと思いちょこまかと動いている。社会を丸ごと変えるような大それたことは出来ない。でも、日常の小さな積み重ねだってハッピーを産み出すことはできる。

自分自身が楽しむことを第一に、「キノトッテ」の精神で他の人に関わっていければと思う。

コメント